Wednesday, February 01, 2023 5:57 AM
独企業、米IT解雇者に注目〜「人材獲得の好機」と
厳しい労働市場とソフトウェア技術者不足に直面するドイツ企業の一部が、数千人規模で解雇されている米シリコンバレーの優秀な人材の採用を模索している。
ロイター通信によると、米西海岸はこれまで、最高級の報酬が得られ、選ばれた人々が働く場所としてソフトウェア技術者が憧れる場所だった。しかし、米IT大手で人員削減が相次ぐ中、ドイツ企業にとって是非とも獲得したい求職者層が生まれた形となっている。
フォルクスワーゲン(VW)のソフトウェア部門カリアド(Cariad)のライナー・ツーガホア最高人事責任者(CPO)は「米企業が解雇するなら、われわれが採用する」「当社では米、欧、中国で百人単位の席が空いている」と述べた。
米国では、インフレと景気後退の懸念を背景にグーグルの親会社アルファベット、マイクロソフト、フェイスブックの親会社メタが合わせて約4万人の人員削減を発表している。
ドイツも景気後退の瀬戸際にあるものの、ドイツ企業は近年緩やかな成長を続けている。同国は今も職場でファクスが使われていることが有名なほどIT化が遅れており、技術面で大きく飛躍する必要がある。
またドイツは世界でも高齢者人口が多く、労働力は不足している。ドイツIT・通信・ニューメディア産業連合会(Bitkom)によると、IT関連職には13万7000人の空きがある。
ドイツ政府も移民規制を簡素化し、外国から熟練技術者を引きつけるため市民権をより簡単に取得できるようにする意向を示している。地方自治体もその方向で進んでいる。
最近解雇された人々に対して、ドイツでも裕福な地域である南部バイエルン州のデジタル担当大臣はビジネス向けSNSリンクトインで「当州への移住を心からご招待する」と呼びかけた。
ユーロとドルはほぼ等価だが、カリフォルニアで最も成功している企業と同等の報酬を支払える欧州企業はほとんどないのが実状だ。しかし、物価が高いサンフランシスコと比較すると、欧州は医療費と生活費が安く、そこに期待する企業もある。