Friday, April 28, 2023 6:47 AM
ボッシュ、TSIの工場買収〜EV用SiC半導体の米生産拡大へ
ドイツの自動車部品大手ボッシュ・グループは、カリフォルニア州拠点の半導体メーカーTSIセミコンダクターズの主要資産を買収し、米国での電気自動車(EV)向けSiC(炭化ケイ素)半導体の生産を拡大する。
ロイター通信によると、ボッシュはTSIの建物、機械、インフラとともに商用半導体事業を買収する予定。現在はさまざまな産業用に特定用途向け集積回路(ASIC)を作っているTSIの工場(加州ローズビル)に15億ドルを投じて改修し、2026年には1万フィートのクリーンルームで、直径200ミリメートル(mm)ウエハーを用いたSiCチップの生産を開始する。
この投資は、連邦の半導体国産支援法(CHIPS法)を通じた国からの援助と州の補助金に大きく依存する。TSIの施設は、ドイツにある2つの施設とともにボッシュの半導体生産における「第3の柱」になる。
ボッシュはほかの自動車関連会社と同様、過去2年間は新型コロナウイルス禍を背景とするアジア製半導体の供給混乱で大きな打撃を受けた。チップ不足は徐々に緩和されてはいるが、完全には解消しておらず、ボッシュと取引する自動車メーカー各社はより安全で多様な半導体の供給源を求めている。
SiCチップは、その化学的特性からEVの航続距離延長と充電の迅速化を可能にするため、EVメーカーからの需要が高まっており、ボッシュでは受注が年30%のペースで伸びているという。
この需要を受けて業界の関連投資も急増しており、ノースカロライナ拠点の半導体メーカー、ウルフスピードはニューヨーク州とドイツで新しいSiCチップ工場を建設しているほか、同業オンセミもSiCに多額の投資をしてフォルクスワーゲン(VW)とチップ供給で戦略提携している。