Monday, May 08, 2023 7:00 AM
イスラエル企業、魚の切り身を3D印刷〜24年には発売へ
イスラエルのフードテック企業ステイクホルダー・フーズ(Steakholder Foods)は、シンガポールの培養シーフード開発ウマミ・ミーツ(Umami Meats)と協力し、実験室で培養・成長させた魚の細胞を使って、すぐに調理できる魚の切り身の3Dプリント(立体印刷)に世界で初めて成功した。
ロイター通信によると、実験室で培養された牛肉や鶏肉は、農業による環境破壊を回避し、動物愛護に関する懸念を解消する方法として注目されているが、魚介分野に取り組む企業はまだほとんどない。
両社のプロジェクトでは、ウマミがグルーパー(ハタ)から細胞を取り出して筋肉と脂肪に成長させ、ステイクホルダーがその細胞を特殊な3D印刷機に適した「バイオインク」に加え、天然魚に似せた細い切り身を作っている。
ウマミは2024年にも最初の製品を発売したい意向で、まずはシンガポール、さらに規制環境が整えば米国や日本などでも販売したい考え。
培養細胞だけではまだ従来の魚介類に比べてコストがかかりすぎるため、今は魚の細胞を植物由来の成分で希釈してバイオインクに添加しているが、ステイクホルダーのアリック・カウフマンCEOは「時間とともに製品の水準が上がり、生産価格は下がる」と見ている。
3Dプリンターの中では、ガラス皿が前後に動き、指の長さほどの白い切り身が層を重ねるごとに大きな塊になっていく。食感は従来の魚のようで、揚げて味付けすれば見分けがつかないほどだという。
価格を天然魚と同じにすることは大きな課題だ。ウマミのミヒール・パーシャドCEOは「私たちは消費者に、味と、世界や地球環境のために何ができるかを基準に選んでもらいたい。コストは考慮の対象から外したい」と話している。