Monday, May 15, 2023 6:47 AM

ONE、2種類の電池でEVニーズに対応

 新興電池メーカーのアワ・ネクスト・エナジー(ONE、ミシガン州)は、性質の異なる二つの電池を組み合わせて、費用や重量を大幅に増やすことなく1回の充電で600マイル走れる電気自動車(EV)を実現しようとしている。

■コストや環境問題を削減

 オートモーティブ・ニュースによると、自動車メーカーは通常、長い航続距離を実現するためにリチウム、ニッケル、マンガン、コバルトを正極材に使ったエネルギー密度の高いNMC(三元系)リチウムイオン電池を採用する。これは、航続距離と重量では他の電池技術より優秀だが、ニッケルとコバルトは高価で、ニッケルの採掘と精製には環境問題も伴う。

 地政学的な問題もあり、ニッケルの世界生産のほぼ3分の1はロシアと中国が占め、精錬ニッケルの生産量も40%以上を両国が占める。コバルトも全体の約70%が、安全基準や労働者保護がなく、児童労働が行われているコンゴ民主共和国(DRC、旧ザイール)で生産されている。また、NMC電池には熱暴走による火災の問題もある。

 そこでONEは、日常的な運転に適した小型で信頼性の高い電池と、長時間の走行に適したエネルギー密度の高い電池を2種類組み合わせ、コストを抑えつつ安全性と信頼性を高め、消費者が求める十分な航続距離を提供しようとしている。ムジーブ・イジャズCEOによると、このデュアルバッテリー開発プロジェクトは「ジェミナイ(Gemini=双子座)」と呼ばれ、BMWと協力して2023年内にデュアルバッテリーシステムを搭載したEV「iX」SUVのテストを開始する予定だという。