Monday, June 05, 2023 6:44 AM
爆薬大手オリカ、電池材料市場に参入へ
オーストラリアの鉱業・化学大手で世界最大の爆薬メーカー、オリカ(Orica)は、急成長する電池分野で使われる金属の精製に必要な化学材料市場に進出する計画で、買収や事業開発を検討している。
ロイター通信によると、オリカの計画の背景には、エネルギー転換期にオーストラリアが豊富な鉱物資源からより多くの価値を得ようとする一方で、電池メーカーに材料を供給する加工産業を支える化学品メーカーがまだ存在しないという状況がある。
オリカのサンジーブ・ガンディーCEOは「私の野望は、将来有望な商品の生産に役立つ鉱業用化学品のポートフォリオにアクセスすること。銅、ニッケル、リチウムの精製など、鉱物を使用可能な製品に換えるには多くの化学品が必要になる」と語り、鉱業顧客と競合しない化学分野で、こうした事業の開発および買収の両方を検討しているという。
2021年からオリカを率いるガンジー氏はかつて、電池材料事業を展開するドイツの化学大手BASFに26年間在籍した。氏は、世界で電池のサプライチェーン(供給網)が形成されつつある中、オーストラリアは自国の得意分野に集中する必要があると見ており「他国に追い付こうとしてオーストラリアで電池の生産を始めるのは考えが甘いと思う。私たちにできることは、さらに一歩踏み込んで、電池関連の鉱物を抽出、精製して販売可能な形にすること」と話している。
またオリカは、電気自動車(EV)用リチウムイオン電池などに使われる高純度アルミニウム製品を製造する豪企業アルファHPAと協力して、北米での事業展開も目指している。
オリカはアルファHPAに試薬を供給している。アルファHPAは、低炭素LED(発光ダイオード)照明やハイパワー半導体に使われる製品も製造しており、段階的な拡張の準備を進めている。