Monday, July 10, 2023 6:56 AM
寒冷地の充電効率を50%改善〜CATL、電池の新素材開発
電気自動車(EV)用電池メーカーの世界最大手、中国のCATL(寧徳時代新能源科技)は、上海で開催されたイベントで、特に極寒地におけるEVの充電効率を大幅に改善するリチウムイオン電池用の新しい電解質材料を開発したと発表した。
ロイターによると、新しい素材を使った電解質は、マイナス20℃という極寒の環境下ではリチウムイオン電池の充電効率を従来より50%、通常に近い気温なら43%高められるという。
気温が低いと電極間にある電解液の反応が鈍くなるため、EVにとって冬は厳しい条件が多い。また、寒冷地ではEVを温めるための余分な電力も必要で、これが航続距離に影響する。
CATLは2023年、10分の充電で400キロの航続距離を実現できる電池を量産できる見込みで、次は同じ距離を走るための充電時間を5〜7分に短縮するのが目標だという。
自動車メーカーや一部のサプライヤーは、大出力と長い航続距離を実現する全固体電池の開発でしのぎを削っており、それぞれの電池は試作段階まで進んでいるがコストが高い。トヨタは6月、全固体電池の耐久性の課題を克服して実用化のめどがつき、27〜28年の量産開始を目指すと発表した。固体電池のコストと重量を半減し、充電時間を10分以下にできる見通しだという。
CATLのチーフサイエンティスト、ウー・カイ氏は、固体電池の量産準備やコストに関する他社の主張には懐疑的で「確実なのは、現在業界で全固体電池を量産できるところはないということ。彼らはコストを半分にできると主張しており、それは非常にエキサイティングで革新的だろうが、彼らが何を基準に比較しているのか疑問だ」と話している。