Tuesday, July 11, 2023 6:41 AM

国連、24年から自動運転トラックで支援食料輸送か

 国連は、人道支援活動従事者の命を守るため、早ければ2024年にもAI(人工知能)を搭載したロボット車両で紛争地域や災害地域に食料を届ける可能性がある。ロイターが世界食糧計画(WFP)関係者の話として伝えた。

 国連によると、近年は第2次世界大戦以降で最も多くの紛争が発生する中、援助活動家に対する攻撃が激化しており、国連の食料援助機関であるWFPは23年、スーダンの紛争で3人の職員を失っている。

 WFPのイノベーション部門を率いるベルンハルト・コワッチ氏は、ジュネーブで開催された国際電気通信連合(ITU)主催の会議で、AIが飢餓の撲滅など国連の世界目標達成に役立つと説明しながら「運転手やWFP職員を派遣するには危険すぎることもあるため、この技術の利用は実際に大きな変化となる可能性がある」と語った。

 WFPが導入を検討するAI搭載トラックは水陸両用で、1台当たり約1〜2トンの食料を運べる。

 同トラックが最初に考案されたのは、12〜16年に起きたシリアの(反政府勢力の最大拠点だった)アレッポでの戦闘で、人道支援活動家らが政府軍に包囲された地区を援助するのに苦労していた時期だった。空からの物資投下は費用がかかる上、地上に広いスペースも必要で現地では困難だったという。

 WFPはすでに南スーダンで約50台のAI搭載車両を使っているが、現在は運転手を必要とする。WFPはドイツ航空宇宙センター(DLR)とのAHEAD(Autonomous Humanitarian Emergency Aid Devices)プロジェクトの一つとして、24年初めに無人運転の試験を行う予定で、AIを使って人工衛星やセンサーなどさまざまな情報源から得られるデータを組み合わせ、離れた場所から人が車を操縦できるようになる。

 自動運転トラックを最初に展開することになる南スーダンは、約770万人が深刻な食料不安に直面し、洪水で近づくのが難しい時もある。