Friday, July 14, 2023 6:42 AM
リチウム、コバルト、ニッケル需要が急騰〜IEA報告
低エミッションおよびゼロエミッション技術を中心とした未来の技術で重要な鉱物の需要が急上昇しているという報告書を、国際エネルギー機関(IEA、本部パリ)が発表した。
CNBCによると、IEAは「2017〜22年にリチウムの全体的需要が3倍に上昇し、コバルト需要は70%、ニッケル需要は40%上昇した」と報告した。エネルギー関連部門での鉱物需要の高まりが主な理由だという。重要鉱物開発への投資は、21年に前年比20%増、22年には30%増を記録した。
IEA報告書は「リチウム開発に特化した企業が生産関連の支出を50%増やした」「銅とニッケルの生産に力を入れる企業がそれに続いた」「中国企業が22年の投資をほぼ2倍に増やした」と指摘した。
IEAは22年12月、再生可能エネルギーは20年代半ばまでに石炭を追い越し、最大の発電源になるだろうという見通しを示した。風力タービンや電気自動車(EV)といった低炭素化技術の運用で重要な鉱物が果たす役割は拡大を続け、世界中の関連企業がそれに投じる金額も膨らんでいる。
化石燃料から再生可能エネルギーへの転換に不可欠な鉱物の市場規模は、22年に3200億ドルに達しそれまでの5年間で倍増した。重要鉱物分野の新興企業は22年に、過去最大の総額16億ドルを調達した。
重要鉱物の採掘や加工をめぐっては、地政学的な側面もある。中国は黒鉛および希土類の生産とリチウムの加工では世界最大手だが、コバルトについて世界はコンゴ民主共和国に大きく依存している。
また、IEAによると計画されている事業の大部分は既存地域で開発されており、計画されているリチウム加工施設の半分は中国にあり、計画されているニッケル精製施設のほぼ90%はインドネシアが占めている。