Tuesday, September 26, 2023 6:48 AM

加州知事、無人の自動運転トラック禁止法案に拒否権発動

 カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事はこのほど、州内における大型無人トラックの運行を禁止する法案に拒否権を発動した。

 ロイターによると、労働者の支持を受けたこの「州法案316号」は、重量が10001ポンド(約1500キロ)を超える自動運転車には訓練を受けた運転手の同乗を義務付ける内容で、州議会の上下両院で賛成多数で可決された。しかしニューサム知事は22日夜、「この特殊な技術は既存の規制の枠組みで十分に管理されているため、現時点でこの法案は必要ない」と述べ、拒否権を発動した。

 知事による拒否権は、両院でそれぞれ3分の2以上の賛成があれば覆すことができるが、カリフォルニア州ではまれで、1979年以来起きていない。

 テキサスやアーカンソーなど多くの州が自動運転トラックのテストと運行を許可している一方で、アルファベットやアップル、そして最先端ハイテク企業の本拠地であるカリフォルニア州は、重量10001ポンド超の自動運転トラックの走行を禁じている。しかし業界関係者によると、州陸運局はこの規制を撤廃するための規制の枠組みを作る方向で動いており、それに反対する勢力が今回の法案を提出したのだという。

 自動運転技術の開発は予想以上に難しく、コストがかかることが判明し、人員削減やスタートアップ企業の閉鎖にまでつながっている。現在も無人トラックの走行試験や配備を続けている企業としては、オーロラ、ダイムラー・トラック、コディアック・ロボティクス、ガティックなどがある。

 この技術を支持する人々は、今回の法案は南カリフォルニアの港湾から州内各所への貨物自動運送の可能性を妨げ、将来に向けた関連技術への投資が他州に流れる原因になると主張する。しかし、全米トラック運転手組合(IBT、通称チームスターズ)を中心とする労働組合は、重量8万ポンドを超える物もある自動運転トラックは安全性に問題があり、雇用喪失につながるとしてニューサム知事に法案への署名を要求してきた。

 知事は拒否権発動に伴うメッセージの中で、陸運局が策定する規制は、利害関係者や専門家の意見を取り入れて透明性あるものにすると述べた。