Monday, March 11, 2024 10:57 AM
住友ゴム、EVタイヤ開発で新技術〜「タイヤ空力シミュレーション」
住友ゴム工業は、タイヤ開発用のシミュレーション技術「タイヤ空力シミュレーション」を開発した。
プレスリリースによると、EVの燃費(電費)性能向上にはタイヤの転がり抵抗の低減に加え、タイヤ周りの空気抵抗の低減が非常に重要になる。同社は走行する車のタイヤ付近の気流を人工知能(AI)も利用した独自のシミュレーション(人工再現技術)によって可視化することで、空力性能を最適化するタイヤ形状の開発を進めており、2027年発表予定の次世代EVタイヤでは、EVの電費性能向上にもっと貢献するタイヤの開発を目指す。
EVタイヤに求められる性能として、電費性能を向上させ航続距離を最大限に延ばすことが重要な要素の一つになる。同社は従来の転がり抵抗低減の取り組みに加え、新開発の「タイヤ空力シミュレーション」を活用して、空気抵抗の低減にも取り組む。
EVでは、内燃エンジン(ICE)車では大半を占める熱によるエネルギー損失がEVではほとんどなくなる半面、空気抵抗の影響が相対的に大きくなる。タイヤは車体から露出しており、タイヤ付近を流れた空気は車両下部や側面にも大きくはみ出して流れるため、乗用車の空気抵抗によるエネルギー損失のうち20〜25%はタイヤが関係する。EVでは、転がり抵抗と合わせるとエネルギー損失の約34〜37%にタイヤが絡んでくる。
「タイヤ空力シミュレーション」は、タイヤ付近の空気抵抗を可視化するシミュレーション技術。実車両データを用いたり、タイヤのパターンを再現した上で、車重による接地部分のタイヤ形状変化も含めて結果の分析にAI技術を活用したりしてタイヤの回転による空力を計算できることが特徴だ。住友ゴムは今回、タイヤのサイドウォールの文字や微細な凹凸がパターン同様に回転しながら変形するシミュレーション技術を開発した。
シミュレーションの精度を確認するために実施した実車による風洞実験結果と比較して、タイヤ後方の気流の傾向やサイドウォール部の凹凸を少なくしたEVタイヤの方が標準タイヤよりも空気抵抗値が低くなり、その変化量も一致したことから有用性を確認できた。
AIも、空気抵抗が大きい時はサイドウォール部がタイヤの空気抵抗に重要な位置であると示唆しており、AI技術の有効性も確認できたという。
https://www.srigroup.co.jp/newsrelease/2024/sri/2024_010.html