Thursday, May 09, 2024 7:40 AM

GM、ジョージア電力会社に燃料電池トラックのプロトタイプ供給

 ゼネラル・モーターズ(GM)は今年、連邦政府が資金提供する実証プロジェクトの一部として、ジョージア州の電力・ガス会社サザンに水素燃料電池を動力源とする初の中型トラックを供給する。

 オートモーティブ・ニュースによると、納入されるパイロット車両は、中型トラックの2024年型「シボレー・シルバラード5500」の車体とフレームに、GMの「ハイドロテック」燃料電池システムを組み込む。航続距離は300マイル超、車両総重量は1万9500ポンドと推定されている。

 同トラックは出力300kW超の発電が可能で、現場でのオフボード電力として、あるいは従来の充電が利用できない場合に電気自動車(EV)の充電にも使えるという。

 GMのプログラム・エンジニアリング・マネジャーで連邦の「スーパートラック3」プログラムに携わるジェイコブ・ロージャー氏によると、300kWは米国の一般世帯250戸分の電力に相当し、年内には未公表のパートナー企業と同じ動力源で貨物用トラックの展開も予定しているという。

 今回のプロジェクト期間は5年で、エネルギー省が6500万ドルを投じる「スーパートラック3」プログラムから資金が提供され、作業用の車両に燃料電池技術を導入し、水素の燃料補給と貯蔵を支えるマイクログリッドの構築に取り組むことになっている。

 GMは、水素トラックの導入でサザンと協力するほか、サザンおよび水電解槽の大手ネル・ハイドロジェンUSと協力してマイクログリッド・プロジェクトを進める。GMは「水素燃料電池は、特に重い荷物を運び、素早く燃料を補給する必要がある大型商用車を中心に、ディーゼルエンジンに取って代わる可能性がある」と見ている。

 同社は、オートカー・インダストリーズと協力して26年からコンクリートミキサーやロールオフ・トラックといった車両に燃料電池を搭載する予定で、重機大手コマツとも鉱業用燃料電池車のプロトタイプ開発で協力している。

 ネルとは、水と電気を利用して水素と酸素を製造するネルのプロトン交換膜(PEM)燃料電池の工業生産にも取り組んでおり、デトロイト近郊にあるホンダと合弁の燃料電池システム工場では1月にシステム生産を開始している。