Tuesday, May 14, 2024 7:37 AM

シリコン負極材開発の豪シコナ、米国に進出

 次世代リチウムイオン電池向けにシリコン・カーボン負極材を開発しているオーストラリアのシコナ・バッテリー・テクノロジーズ(Sicona Battery Technologies)は、成長著しい米国の電池部品市場に参入し、電池や電気自動車(EV)の主要製造拠点に近い南東部州に初の商業生産施設を建設すると発表した。

 グリーンカー・コングレスによると、同社は最近エンジニアリング大手ベクテル(Bechtel、カリフォルニア州)とのフロントエンド・エンジニアリング設計研究を完了し、年産6700トンのシリコン・カーボン負極材製造工場の段階的開発を進めている。これでシコナは、米西海岸北部で建設・開発されている複数のシリコン・カーボン工場を合わせた年間約5800トンを上回り、米国最大のシリコン・カーボン負極材メーカーになる。

 さらに2030年代初めまでには米国での生産量を年間2万6500トンに拡大する計画で、これはEV325万台分を超える量に相当する。

 シコナが生産しているシリコン・カーボン負極材(Sicona SiCx)は、従来の黒鉛だけを使った負極材に比べてリチウムイオン電池のエネルギー密度を20%以上高め、充電時間を40%以上短縮する。さらに、シコナの技術はシランガス(水素化ケイ素)を使わないため、顧客は電池生産設備で多大なコストや大規模なリエンジニアリングを発生させることなく、比類のない価格とドロップイン材料による最大限のプラス効果を得られる。

 シコナは、均一なナノ粒子を作り出すためにトップダウン・プロセスを活用して効率的なシリコン金属の機械的還元を実現。さらに特殊なカーボン・コーティング・プロセスで処理し、材料を生成している。