Thursday, November 21, 2024 5:57 AM
ルネサス、3nmプロセスの車載用マルチドメインSoCを発表
ルネサスエレクトロニクスは、最新世代の自動車用統合システムオンチップ(SoC)「R-Car X5H」を発表した。このSoCによって先進運転支援システム(ADAS)、車載インフォテインメント(IVI)、およびゲートウェイの用途を単一のチップで実現できるようになる。
オートモーティブ・ワールドによると、「R-Car X5H」は、第5世代「R-Car」製品の第1弾で、最新の3ナノメートル(nm)プロセス技術を採用している。業界最高水準の統合性と性能を提供し、自動車メーカーやティア1サプライヤーの中央制御ユニット(ECU)への移行を容易にし、将来を見据えたシステム開発を効率的に実現できる。
ルネサスは2025年上半期、一部の自動車顧客向けに「R-Car X5H」のサンプル出荷を開始し、27年下期に量産を開始する予定。
「R-Car X5」は、独自のハードウェアベースの隔離技術により、複数の自動車ドメインに対して高度に統合された安全な処理ソリューションを単一チップで提供する業界初のSoCで、チップレット技術を用いて人工知能(AI)や画像処理性能を拡張するオプションも備えている。第5世代「R-Car」の中でも最高の性能を持ち、複雑化するソフトウェア定義車両(SDV)の開発課題にも対応する。
SDVの開発では、車両の安全性を確保しつつ、データ処理性能、消費電力、コスト、ハードウェアとソフトウェアの統合を最適化しなければならない。「R-Car X5H」は、アプリケーション処理、リアルタイム処理、AI処理、画像処理、大型ディスプレイへの表示、センサー接続といった機能を単一チップで実現し、次世代の自動運転やIVI、ゲートウェイアプリケーションに対応する。
新しいSoCシリーズは、TSMC(台湾積体電路製造)の最先端技術である3nmプロセスの採用により、5nmで設計されたディバイスと比べ消費電力を30〜35%低減している。これで追加の冷却機能が不要になり、システムコストが削減されると同時に車の航続距離延長にもつながる。