Wednesday, March 05, 2025 6:08 AM
EVの航続距離、氷点下でも平均8割を維持
EVは気温が氷点下になると平均して航続距離が約20%短くなることが、EVの電池および航続距離の分析会社リカレント(Recurrent、ワシントン州)の調査で分かった。
オートモーティブ・ニュースによると、リカレントはテレマティクス(通信技術)などの車載機器を通じて1万8000台以上のEVから収集した実走行データを調査した。データは2024年と25年の冬に収集された。
調査の対象となったEVは、ヒートポンプの搭載車と非搭載車を含む8メーカー/11ブランドの22車種。その中で冬でも最も長い航続距離を保ったのはテスラの「モデルX」で、通常の89%を維持した。最も短かかったのはフォルクスワーゲン(VW)の「ID4」で63%まで短縮した。
内燃エンジン車はエンジンが発する熱を車の暖房に利用できるが、EVは車内を暖められるほどの熱を生み出さない。寒冷地でEVの航続距離を維持する方法の一つとしては、ヒートポンプの使用がある。ヒートポンプは空気中の熱を取り込んで圧縮または膨張させ、冷暖房に活用する装置で、電池の残量を落とさず熱を生産する効率的な方法になる。
リカレントのアンドリュー・ガーバーソン氏によると、ヒートポンプを使ったEVは使わないEVよりも航続距離が10%長くなるという。同社の調査では、ヒートポンプ搭載車は「シボレー・イクイノックス」(76%)と「キャデラック・リリック」(72%)を除き、すべて寒冷地でも80%以上の航続距離を維持した。
EV購入を検討する人が抱くもう一つの懸念として、寒さが充電に与える影響がある。EVの電池は寒すぎるとうまく充電できず、充電時間が長くなることがあるためだ。しかし、新型モデルではこの問題への対処が図られており、ほとんどの車種はGPSで目的地に充電ステーションを設定すると、電池のプリコンディショニング(温度や充電レベルを最適な状態にすること)を始めるようになっているという。
ガーバーソン氏は「EVオーナーは運転習慣を少し調整するだけで、寒さによる影響をほとんどなくせる」と話している。