Monday, November 17, 2025 6:13 AM
アーカンソー、リチウム生産拠点を目指す
リチウム生産の中心地を目指すアーカンソー州は、中国との厳しい競争、低迷するリチウム価格、そして技術的課題という三重の壁に直面しているが、州政府関係者や業界幹部はこれらの障害が克服可能だと考えている。
◇リチウム埋蔵量500万トン超
ロイターによると、ビル・クリントン元大統領の出身地でもある同州の地下には、フロリダからテキサスまで続く「スマックオーバー」(Smackover)と呼ばれる地層が広がっており、米地質調査所(USGS)は、リチウム濃度の高い塩水(ブライン)層に500万トン超のリチウムが含まれていると推定している。これは、電気自動車(EV)何百万台分の電池をはじめ、さまざまな製品を作れる量だ。
しかし、ブラインからリチウムを抽出するには、まだ商業規模では実現されていない「直接リチウム抽出(DLE)」技術の確立が不可欠になる。また、リチウム価格が過去18カ月に80%以上も下落していることも同州にとっては逆風となっている。世界の電池サプライチェーンを追跡しているベンチマーク・ミネラル・インテリジェンス(BMI)によれば、価格の低下は中国企業による供給過剰が主因だという。
こうした逆境にもかかわらず、エクソンモービル(生産開始は少なくとも1年延期し2028年を予定)やスタンダード・リチウム、シェブロンなど複数の企業がアーカンソーでDLEの実用化に取り組んでいる。エクソンモービルのリチウム事業責任者パトリック・ハワース氏は同州リトルロックで10月開かれた「アーカンソー・リチウム・イノベーション・サミット」で「私たちはアーカンソー州を可能な限り競争力のある地域にするため努力している」と語った。