Monday, November 17, 2025 6:13 AM

シェルの新冷却液、一つでEVパワートレイン全体に対応

 シェルの潤滑油部門シェル・ルブリカンツ(Shell Lubricants)は、電気自動車(EV)のパワートレイン全体の冷却に対応するオールインワン型熱管理ソリューション「シェル EV-プラス・サーマルフルード」を開発した。

 EVインフラストラクチャー・ニュースによると、シェルは9月、このEV冷却液が優れた熱伝導性を提供しつつ電気的非伝導性を維持して電池システムの温度を制御し、高速充電を可能にすることを実証。今回は、この製品が電池パック以外にも有効で、走行中のモーターやパワーエレクトロニクスの冷却など、EVパワートレインの全般的な冷却ソリューションとしても使えることを証明した。

 この結果、複数の冷却回路が不要になることで電池システムやパワートレインの設計が簡素化され、EVパワートレインの部品数が減り、従って車両が軽量化されて運用効率やコスト効率が向上する。

 シェルは自動車試験とエンジニアリングサービスのホリバMIRA(マイラ)と共同で、新冷却液が電池パックの熱制御を促進するだけでなく、洗練された単一流体・単一回路システムを設計できることを実証しており、液が電気部品の熱をほかの部分に伝えることも可能だと分かった。

 この冷却液を使った初期の検証では、容量34キロワット時(kWh)の電池パックを10分足らずで残量10%から80%まで充電した。

 EV-プラス・サーマルフルードは、天然ガス由来の分子結合力が強い高純度(99.5%)なベースオイルを用いた独自の「ピュアプラス・テクノロジー」が使われており、従来型のグリコール系冷却液に比べ毒性が大幅に低い。