Thursday, June 30, 2016 10:21 AM
石炭生産量、35年来最低に〜電力需要の大幅低下で
米国の石炭生産量が大幅に減少し、1981年の炭鉱ストライキ以来35年ぶりの落ち込みを記録している。
ニューヨーク・タイムズによると、石炭はかつて国内発電所の最も一般的な燃料だったが、近年は電力会社が太陽光発電や風力といった再生可能エネルギー発電および天然ガス火力への切り替えを進めているため、業界は低迷し、石炭消費量は最高を記録した2007年からほぼ3分の1も減っている。
これまで緩やかだった減少ペースは最近になって急加速しており、16年1〜3月の生産量は1億7300万トンと81年以降最低に、減少幅も前期比17%と約32年間で最大になった。生産減少の一因は、気候が例年に比べて温暖で電力需要が低いためで、15年第4四半期には厳冬を見込んで3400万トンの石炭が余分に備蓄されていた。
しかし原因は気候だけでなく、エネルギー省の報告書は「市場が石炭生産者にとってより厳しい状況になっており、環境保護規制の強化や電力需要の減速に加え、石炭は火力発電燃料として天然ガスとの競合が激化している」と指摘する。
生産量の落ち込みが最も激しいのはモンタナとワイオミング両州に広がるパウダーリバー盆地。アジアや欧州ではまだ重要な火力発電燃料であるため、業界は輸出に期待をかけていたが、経済成長の鈍化や世界的な石炭価格の低下、液化天然ガス(LNG)取引の増加などで輸出も減少している。
エネルギー省によると、3月の石炭輸出量は前年同月比32%減となり、16年通年では10%減、17年は12%減と予想されている。影響は鉄道業界にも及び、米国鉄道協会(AAR)によると16年第1四半期の石炭積載量は前期比で20%減少した。石炭火力発電の電源構成は、08年初頭の約50%から約30%に縮小している。それでもほとんどのエネルギー専門家は、今後もしばらくは引き続いて石炭が重要な電力源であり、来年は天然ガスの価格が上がる見通しのため石炭消費量は少し回復すると予想している。