Wednesday, December 14, 2016 10:03 AM
オフィスビルから倉庫へ〜需要高まり改装増える
大都市に近いニュージャージー州やニューヨーク州ロングアイランドでは、オフィスビルを倉庫に改装して人気の市場に乗り換える不動産業者が増えている。
ウォールストリート・ジャーナルによると、オフィス・スペースは倉庫より建設コストが高く、一般的により高い賃貸料を取れるため、少し前まではこうした改装を考える開発業者は少なかったが、eコマース拡大による倉庫需要の急騰で状況が変わった。
不動産サービス大手JLLのトーマス・ディミセリ副社長は「これまでの流れは常に反対で、産業用スペースをオフィスに改装していたが、産業スペースの価値が十分に上昇したため、オフィスビルを改装する価値がでてきた」と説明する。これらの不動産の多くはオフィス・スペースとしては最高物件ではないが、ニューヨーク市や港、幹線道路に近く、住宅街からは離れていて、大型トレイラーを駐車して荷物を動かすのに十分な広い土地があるなど、倉庫としては多くの条件を満たしている。
近年オフィス市場は軟調で、JLLによると2016年7〜9月期の空室率はロングアイランドで14.3%、ニュージャージーは24%となっている。これに対し産業用スペースはロングアイランドで1.8%、ニュージャージーの北部や中部は4.6%と低い。さらに倉庫は価格も上昇しており、ロングアイランドでは1平方フィート当たりの平均販売価格がこの3年で62.50ドルから96.80ドルに、ニュージャージーでも63.78ドルから74.84ドルになっている。
その一因は、ホテルや住宅開発業者に物件を販売して多額の現金を手にしたブルックリンやクイーンズの業者がロングアイランドやニュージャージーに移り、倉庫市場の競争に加わっているためだという。数年前に99万ドルで購入したニュージャージー州カールスタットの7エーカーに建つ6万平方フィートのオフィスビルを、産業用スペースに変更してタオル会社に約1300万ドルで売却したサイテックス・グループ(SitexGroup)は「シカゴや南カリフォルニアでも同じことをしており、閉鎖されたオフィスパークを探している」と話している。