Monday, July 18, 2016 1:05 PM

ガス・フレアを電力に変換〜新興企業、安価な熱電気素材を開発

 設立7年の新興企業アルファベット・エネルギー(Alphabet Energy)はこのほど、油田やガス田で遊離天然ガスを焼却する際に生じる「ガス・フレア(gas flares)」と呼ばれる炎を活用してエネルギーを生成する手法を開発し、関心を集めている。

 ガス・フレアは、相当量の天然ガスが焼却される状況を作り出す。ノース・ダコタ州のバッケン・シェールでは、水圧破砕法(フラッキング)によって採掘された天然ガスの約3分の1がフレアリングで焼却されたと見積もられる。

 フォーチュン誌によると、アルファベット・エネルギーが開発したのは、ガス・フレアの熱を利用して発電する燃焼機「パワー・ジェネレーティング・コンバスター(Power Generating Combustor)」だ。燃焼技術を手がけるコヨーテ・ノース(Coyote North)の製造した通常のフレア燃焼機を使い、そのうえに独自のキャップを付けている。

 アルファベット・エネルギーは、石油およびガス生産会社に同製品をすでに販売している。また、これまでにオセオラ・キャピタル・マネジメント(Osceola Capital Management)やクレアモント・クリーク・ベンチャーズ(Claremont Creek Ventures)、GMベンチャーズといったベンチャー・キャピタル会社から総額2350万ドルの投資を調達した。

 アルファベット・エネルギーの技術の要は、熱を電力に変える熱電気素材だ。熱電気素材はこれまで何十年にもわたってさまざまの用途で開発されてきたが、ほとんどは希少かつ高価な素材を使用しているため、幅広い商用化には適さなかった。

 アルファベット・エネルギーは、シリコンをはじめ安価かつ豊富に存在する素材を使い、最新の素材科学とナノ技術を活用してコストを下げている。

 設立者兼最高経営責任者(CEO)のマット・スカリン氏は、ローレンス・バークリー国立研究所の勤務時代に同社を設立した。

 同社はこの数年間に、ディーゼル発電機や車のエンジンに設置する用途の素材を開発してきた。

 ガス・フレアの燃焼機を目的とした新しい製品は、環境規制の強化と石油およびガス価格の低下という二つの市場動向を受けて今後数ヵ月以内に急成長する、とスカリン氏は考えている。

http://fortune.com/2016/07/13/gas-flares-to-power/