Monday, July 18, 2016 1:06 PM

切手大に世界の全書物? 原子配置利用した記憶装置

 超小型の素子に膨大な情報を盛り込める記憶装置を開発したと、オランダ・デルフト工科大のチームが18日付英科学誌ネイチャーナノテクノロジー電子版に発表した。面積当たりの情報量は現在のハードディスクの500倍で、理論的には、切手ほどの大きさで世界の全ての書物を記録できるという。

 チームが開発した素子は、コンピューターで扱う最小単位の1ビットの情報として、原子1個の配置の違いを利用する仕組み。銅の基板の上に塩素の原子が整然と並んでおり、1万分の1ミリ四方程度の大きさに、160単語の英文(1キロバイト)の情報が記憶できた。

 製造方法はまず、銅基板の表面に塩素を吸着させてコーティングする。表面を特殊な顕微鏡で見ると、塩素原子は碁盤の目のように等間隔に並んでいるが、ところどころに塩素原子をくっつけるのに失敗してできる「空白」がある。チームはこの空白を利用。特殊な針で、空白の場所へ近隣の塩素原子をずらすことによって、塩素原子と空白の配置を自在に操ることに成功した。(共同)