Monday, July 25, 2016 10:36 AM

南シナ海仲裁判断言及なし 中国念頭に「深刻な懸念」

 東南アジア諸国連合(ASEAN)は25日、ラオスの首都ビエンチャンで非公式の外相会議を開き、共同声明の内容で合意し採択した。南シナ海問題について、中国による人工島造成や軍事拠点化を念頭に「最近の動きに深刻な懸念」を表明したが、南シナ海のほぼ全域で中国が主張する主権を否定した仲裁裁判所の判断への言及は見送った。

 国際的に注目を集めた仲裁判断が12日に示されて以降、初めて開かれたASEAN外相会議は、仲裁判断に一切言及しない不自然な結果となった。経済を背景に影響力を増す中国に配慮する一方、ASEAN内の亀裂をこれ以上深めないよう結束を示した形だ。

 外相会議は24日に開かれたが協議は難航。外相らは25日午前に再び非公式に集まり協議を続けた。親中国派のカンボジアは仲裁判断への言及に強く反対。南シナ海問題で妥結できず、共同声明発表を見送った2012年外相会議の再現を避けるため、仲裁判断への言及を求めたフィリピンなどが妥協したとみられる。(共同)