Tuesday, September 19, 2017 11:30 AM

衆院選、予算膨張圧力に 「人づくり」や政策PR

 安倍晋三首相が実施する衆院解散・総選挙は、経済政策の行方に影響を及ぼしそうだ。増税後の消費税収を教育財源として「人づくり革命」実現を訴える首相方針で財政規律が緩み、選挙戦での政策アピールが加わって2018年度予算編成で歳出膨張の圧力が強まるのは必至。米国抜きでの発効に向けた環太平洋連携協定(TPP)交渉に「政治空白」が影を落とす可能性もある。

 予算編成は財政制度等審議会(財務相の諮問機関)分科会が19日、本格的な議論に着手した。各省庁の概算要求は高齢化に伴う社会保障費の増加や成長戦略などの新政策が盛り込まれ、一般会計総額が約101兆円に拡大。財務省は3兆円ほど削る構えだった。

 だが、首相は人づくり革命に関する有識者会議の結論を待たず、19年10月に消費税率を10%に引き上げた際の増収分を教育無償化に回す姿勢を示す見通し。借金返済が遅れて20年度の基礎的財政収支の黒字化目標先送りが確実になることから、分科会では消費税以外の財源を確保すべきだとの声もあったが、衆院選の争点でもある北朝鮮問題を抱えた防衛分野や、公共事業を含め歳出抑制論議は高まりそうにない。(共同)