Wednesday, October 18, 2017 10:53 AM

国保赤字、税金穴埋め容認 来春移管控え厚労省転換

 自営業者らが加入する国民健康保険(国保)の運営を来年4月、市区町村から都道府県に移管するのを前に、厚生労働省が従来の方針を事実上後退させ、市区町村が一般会計の税金で国保の赤字を穴埋めする措置を当面は容認する姿勢に転じたことが18日、分かった。自治体向けの説明会などで、穴埋めの継続を選択肢として示した。

 一般会計による国保の赤字穴埋めは、住民から広く集めた税金を国保加入者だけのために使う形だ。厚労省は好ましくないとして「計画的に解消すべきだ」としてきたが、保険料の変化を試算すると急激な上昇を招くケースがあったことから、加入者の反発を懸念した。ただ、運営主体を広げて保険料の格差を是正し、負担と受益の関係を明確にするという制度改革の理念が失われかねず、批判も出そうだ。

 高齢や低所得の加入者が多い国保は構造的な赤字が続いており、2015年度の赤字は全国で総額約2800億円。保険料で賄おうとすると加入者の負担が重くなるため、一般会計から「法定外繰り入れ」と呼ばれる手法で約6割の市区町村が赤字分を補填している。(共同)