Monday, August 08, 2016 10:34 AM

NY州、原子力を含む低炭素発電を重視〜原発閉鎖を回避する補助金拠出へ

 ニューヨーク州は、再生可能エネルギーよりも低炭素エネルギーを重視する政策を進めている。

 エンバイロメンタル・リーダー誌によると、同州が進める「クリーン・エネルギー・スタンダード(Clean Energy Standard)」政策では、風力や太陽、水力の再生可能エネルギーに加えて原子力を合計して、2030年までに州内発電量の半分を構成することを目指している。また、石炭火力発電所を2020年までに廃止することを求めている。

 「気候変動に対応するためには、特定のエネルギー源だけに頼る理想主義的な取り組み方ではなく、すべての低炭素エネルギー源をできるだけ早く取り込み、化石燃料による環境影響を排除し始めなければならない」と、フォーブス誌のジム・コンカ氏(地質化学者)は述べている。

 同氏によると、ニューヨーク州の現在の電力源構成は、約30%が原子力で26%が再生可能エネルギーだ。州政府は今後、州北部にある原子力発電所の閉鎖を回避するために公的補助金を拠出する計画だ。廃炉にされる原発が出てくれば、再生可能エネルギーと原発の発電占有率(電力源構成率)が5割を下回る可能性がある。

 同州のクリーン・エネルギー政策予算は9億6500万ドルだが、50億ドルの経済効果を生む、と州政府は説明している。

 同政策にもとづく法案が今秋までに施行されなければ、エクセロン(Exelon)は、州北部にある原子力発電所2ヵ所を閉鎖する計画だ。また、エンタージー(Entergy)も2017年に1ヵ所を閉鎖する可能性がある。

 同州のエネルギー政策は、全米に広まる可能性がある。2015年に締結された気候変動をめぐるパリ協定では、地球の気温上昇を産業革命前と比べて平均2℃未満に抑えることを目指している。それを達成するには、炭素税を導入するかクリーン・エネルギー・スタンダードを用いるかの二つの選択肢がある、とコンカ氏は論じている。

 しかし、炭素税は現在の政治環境では導入がきわめて困難であるため、クリーン・エネルギー・スタンダードのほうが現実的とみられる。

 また、原子力発電への風当たりもかつてないほど強まっている。米国では近年だけで5ヵ所が閉鎖されており、近い将来さらに最大7ヵ所が閉鎖される可能性がある。

http://www.environmentalleader.com/2016/08/01/new-york-state-could-set-a-national-trend-with-its-clean-energy-standard/