Monday, January 29, 2018 11:22 AM

事故9年前に試算見送り 津波、東電反発で旧保安院

 2011年3月に起きた東京電力福島第1原発事故の約9年前、政府の地震調査委員会が「東北の太平洋岸ではどこでも大津波が起こる危険がある」との長期評価を公表した際、当時の経済産業省原子力安全・保安院が東電に「福島沖で津波地震が起きたときのシミュレーションをするべきだ」と求めたが、東電の反発を受け、見送っていたことが29日、分かった。

 原発避難者が国などを相手取った訴訟で千葉地裁に提出された関係者の陳述書で判明した。第1原発に津波が襲来し大事故が起きたが、この段階でシミュレーションをしていれば津波対策に早く着手できた可能性がある。

 陳述書は、旧保安院の原子力発電安全審査課で地震や津波関係の審査班長だった川原修司氏のもので、法務省の担当者に答える形で当時の事情を説明している。(共同)