Wednesday, August 10, 2016 10:50 AM

最後の五輪、「銅」に結実 伝統種目、52年ぶり復活

 萩野公介(東洋大)江原騎士(自衛隊)小堀勇気(ミズノ)がゴールで手招きする中、アンカーの松田丈志(セガサミー)が必死に腕をかいた。52年ぶりの表彰台へー。9日に行われたリオデジャネイロ五輪の競泳男子800メートルリレー決勝。「最後の五輪」と位置付けた32歳のベテラン、松田を中心にまとまった後輩の思いが、銅メダルに結実した。

 4月の日本選手権で代表が決まった後、松田が3人に語り掛けた。「今までで最高のメンバーだ。頑張れば金もある」。この一言で、世界一への挑戦が始まった。200メートルバタフライで2大会連続銅メダルの松田は五輪の厳しさを誰よりも知っていた。頭一つ抜けた21歳の萩野を除き「残り3人の力をどれだけ引き上げるかが鍵になる」と合同練習を提案した。

 5月中旬から国内で約60日間、競い合って練習した。一緒に過ごすことで高い意識を持ち続けた。特に初出場の23歳、江原は精神的に崩れそうになるたびに松田から「五輪がどれほどの戦いか分かっているのか」と叱咤された。江原は「くじけたら負けだった。丈志さんが僕らを強くしてくれた」と語った。(共同)