Friday, August 12, 2016 10:09 AM

イラン音楽家に強まる弾圧 核合意の陰、脱出相次ぐ

 厳格なイスラム体制下のイランから、自由を求めてミュージシャンが続々と国外へ逃れ始めた。核問題で米欧との対話に踏み切り、歴史的な最終合意を交わした穏健派ロウハニ政権の人気の陰で、体制の緩みを恐れる治安当局が、音楽への弾圧を強めているためだ。多くは隣国トルコのイスタンブールにたどり着く。ただ新天地の生活も厳しい。自由の喜びの中に望郷の念もにじむ。

 ボスポラス海峡にほど近く、ランチの客でにぎわうレストランで6月中旬、イラン人の2人組が一つ一つの音を慈しむようにジャズを奏でた。

 ギタリストのアルダバンさん(27)は約10年前、イランの首都テヘランで路上演奏を始めた先駆者の一人だが、何度も拘束され、楽器を壊された。祖国に絶望し昨秋、イスタンブールに来た。到着後、数日はギターを抱いて路上で寝た。所持金はすぐに尽きかけた。(共同)