Tuesday, August 16, 2016 5:39 PM

日本外交「核の傘」執心 米でも根強い消極論

 オバマ大統領が検討する核兵器の「先制不使用」政策が、日本外交の重要課題に浮上している。安倍晋三首相が米軍高官に異論を伝達したと米紙が報道。唯一の被爆国でありながら、米国の核抑止力「核の傘」に執心するジレンマが透ける。米政権内でも、軍を中心に先制不使用への消極論が根強い。9月にも「核兵器なき世界」に向けた政策変更を表明するとされるオバマ氏の動きを、安倍政権は注視する。

 「現時点でいかなる決定もしていない。緊密に意思疎通していく」。首相は今月6日、被爆地・広島での記者会見で、米の核先制不使用に関する質問をかわした。これに先立ち、原爆死没者慰霊式・平和祈念式で「核兵器のない世界に向け、努力を積み重ねる」と宣言したばかりだった。

 「矛盾」を抱え続ける日本政府だが、官邸筋は「核兵器廃絶は一足飛びには実現できず、慎重に進めなければならない」と大きな政策変更に賛同しない立場を説明する。(共同)