Friday, June 22, 2018 10:56 AM

BMWとMIT、自動車内装の新素材開発

 BMWのデザイン部門とマサチューセッツ工科大学(MIT)セルフアセンブリー研究所は、3D(3次元)印刷で作れる空気を封入したインフレータブル(膨張式)素材を共同開発した。

 BMWによると、両者は2016年に立ち上げた「Liquid Printed Pneumatics」と呼ぶ共同プロジェクトを通じて、空気の出し入れでどんな大きさや形にも適応できる3D印刷の素材を世界で初めて開発した。BMWグループのブランドビジョンとブランド設計の責任者マーティナ・スターク氏は「未来の車を特定の型にはめる必要はなく、内装はもっといろんな形、利用法に対応してもいい。協力の結果は、新素材の時代が近いことを示している」と話す。

 BMWとMITはプロジェクトを通じて、空気漏れ、水漏れしない膨張式の立体を液体印刷で作るという画期的な技術を開発した。この立体は空気を出し入れできる複雑なシリコン製の溝やポケットで構成され、自己変形が可能。内部の空気圧に応じて多様な形、機能、剛性を持つ部品に変わり、車の内装のほかにもさまざまな用途に使える。BMWは、自動運転車が実現すればこの新技術が車の快適さに革命をもたらすと確信している。

 最近は多くの自動車、機器メーカーが金属部品の3D印刷に注目するようになったが、BMWはこの研究にほぼ30年近く取り組んでいる。同社はすでにプロトタイプ製作では幅広い部分に3D印刷の専門知識を使っており、同社のスポーツ車「i8」ではトップカバー(開閉する屋根部分)のマウント部品を3D印刷で作っている。

 BMWは18年4月、ミュンヘン近郊のオーバーシュライスハイムに、1200万ドルをかけて3D印刷技術の新しい拠点を開設する計画を発表した。17年2月には、同社のベンチャーキャピタル部門が金属部品の3D印刷が専門の新興企業デスクトップ・メタル(Desktop Metal、マサチューセッツ州)に投資している。