Tuesday, June 26, 2018 10:25 AM

電動旅客機、25年に運航か〜ノルウェーで試験飛行

 ノルウェーでこのほど、電動飛行機の試験飛行が行われた。同国政府は2025年までに電動旅客機の運航を始められると見ている。

 ロイター通信によると、試験飛行ではソルヴィークオルセン運輸通信大臣と航空・空港管理公社アビノールのファルクペテルセンCEOが、スロベニア企業ピピストレル(Pipistrel)製の2人乗り軽量電動航空機「Alpha Electro G2」に乗り込み、オスロ空港周辺を数分間飛行した。

 戦闘機と旅客機の操縦経験を持つソルヴィークオルセン氏は「ボーイングやエアバスといった航空機メーカーも電動航空機を開発しており、バッテリー価格は低下しているため、40年までにノルウェーの国内線をすべて電動化する政府目標は達成可能だ」と述べた。電動旅客機の本格飛行はいつかという問いに対し、同氏は「25年までには飛ぶと思う。40年までには全便が電動化されるだろう」と答えた。

 ピストレル機の離陸時の総重量は570キロ。2人は「中は窮屈で、飛行中は風で揺れたが化石燃料機よりはるかに静かだった」と話した。

 ノルウェーは電気自動車(EV)の先進国で、多額の税優遇、無料駐車、道路通行料の免除といった報奨制度を背景に国民1人当たりのEV販売台数は世界一。政府統計によると、18年5月の自動車販売台数に占めるEVおよびハイブリッド車の比率は56%で、前年同月の46%から大幅に上昇した。

 ノルウェーの人口は500万人。地形は山がほとんどで、フィヨルド、島も多いため200キロ未満の短距離路線が発達し、電動飛行機の導入には理想的な環境だという。国内の電気の98%は水力発電で作られている。

 野党政治家からは「パリ協定の温暖化防止目標を達成するにははるかに多くのことをする必要がある」という声もあり、緑の党指導者のヘルムスタッド氏は「これは始まりにすぎない。ジェット燃料がもっと高くならないといけない」と話している。

 15年7月にはエアバスの「E-Fan」を含む電動飛行機が世界で初めて英仏海峡を渡っている。現在は重量、かさばるバッテリー、航続距離などが大きな課題になっており、ソルヴィークオルセンとファクルペテルセンの両氏も厳しい減量をして試験飛行に臨んだという。