Friday, August 19, 2016 9:49 AM

自動運転車が牽引、サプライヤー買収が過去10年で最高

 2015〜16年の間、自動運転革命を背景にサプライヤーの合併・買収(M&A)が過去10年間で最高を記録した。

 クレインズ・デトロイト・ビジネスによると、ブルームバーグのデータで買収総額は同期間に744億ドルを記録し、両年とも過去10年の年平均(177億ドル)を大きく上回った。特に、5億ドルを超える買収は15年に18件に達し、10年間の平均の3倍を記録した。16年も現在までで同規模の買収が11件に上っている。

 5年程前に開始された自動運転車の開発競争において、サプライヤーはセンサーやカメラ、レーダーを駆使することで、車両間で交わされる交通状況などのデータを理解・共有するノウハウの蓄積に努めている。加えて、景気の不透明感や英国のEU離脱をめぐる懸念を背景に、部品メーカーの株価が下落して買収が容易になっている。

 調査会社エバーコアISIのクリス・マクナリー氏によると、M&Aの次なるターゲットは情報娯楽だ。この分野は小規模のサプライヤーが多いため、買収が反トラスト法に抵触する心配もない。とりわけハーマン・インターナショナル・インダストリーズ、ビステオン、デルファイ・オートモーティブが獲得のターゲットになり得る。マクナリー氏はZFフリードリヒスハーフェン、コンチネンタル、ロバート・ボッシュが情報娯楽分野において比較的プレゼンスが小さいと指摘した。

 プライスウォーターハウスクーパースによると、パワートレインやシャシー部品を含む買収も引き続き活発だが、特に電子部品関連の伸びが著しい。電気自動車(EV)へのシフトや、貪欲な中国企業の攻勢も今後の買収を牽引しそうだ。