Friday, November 16, 2018 8:54 AM

ウーバー、車内の犯罪行為を調査、分類

 配車サービス大手のウーバーはこのほど、車内での性的嫌がらせや暴力に関する53ページの調査報告書を公表し、車内性暴力監視体制を整備したことを明らかにした。営業中の車内で起きる犯罪の実態把握と防止を目指す。

 ブルームバーグ通信などによると、ウーバーの車内犯罪監視システム開発では、全米性暴力情報センター(NSVRC)と都市研究所(Urban Institute)が協力した。

 NSVRCによると、ウーバーの報告書は「この種では業界初」。車内で起きる性暴力や暴行のほとんどは通報されず、また誤解も多く、密室での出来事であるため証人もなく、さらに第三者に事実を忠実に伝える共通の基準や言語表現がない。このためウーバーの報告書作成は大きな一歩だとNSVRCは評価している。

 ウーバーのトニー・ウェスト最高法務責任者(CLO)は「連邦と50州の犯罪統計にも、性暴力犯罪を明示する共通定義は存在せず、不適切行為を示す基準に関する共通認識もない」と指摘する。同社とNSVRC、都市研究所は今回、車内で何が起きたかを正確に把握するため、「じっと見つめる行為」から「同意のない性行為」までさまざまの実態を意味する言葉で21の行為を分類し、ウーバーが車内暴行を共通の言葉で明確に記録できるにようにした。

 車内の性暴力監視体制は、ドライバーや乗客は携帯電話アプリケーションを使ってウーバーの担当部署に通報できる仕組みと考えられるが、詳細は不明。

 ウーバーでは、車内と社内における性的嫌がらせを知っていながら放置したことで経営陣の意識の低さを厳しく批判され、創業者であるCEOをはじめとする複数の幹部が辞任に追い込まれた経緯がある。今回の報告書作成は、そうした企業の悪い印象を払拭する狙いもあるとみられる。