Wednesday, December 05, 2018 9:16 AM

革新機構、休止の可能性も 経産省、予算縮小検討

 経済産業省が、2019年度の産業革新投資機構の予算として要求している1600億円の取り下げや大幅減額を検討していることが5日、分かった。機構の経営陣の報酬水準を巡って、経産省と機構の対立は深まり、経産省は機構が正常な業務ができる体制が整っていないと判断、財務省と予算見直しを調整している。9月に組織改編で発足した機構は事実上、活動休止に追い込まれる可能性がある。

 機構が傘下に複数のファンドを設立して投資を拡大させる方針を示したことに対し、経産省が投資実態が把握できなくなるとして、透明性を確保するためのルール策定を機構側に提案していたことも判明。機構側は国の関与が強まり投資判断が制約されると反発し、意見の隔たりは埋まらなかった。

 機構はベンチャー企業などへの投資を通じ新産業を育成する役割を担っているが、一連の混乱で機構の取り組みに遅れが生じるのは不可避だ。政府の成長戦略にも狂いが生じかねない。経産省は田中正明社長との「信頼関係が毀損した」として辞任を迫る事態となっており、田中氏の対応が今後の焦点だ。(共同)