Wednesday, January 16, 2019 9:37 AM

平成最後の歌会始 陛下、復興に願い込め

 平成最後となる新春恒例の「歌会始の儀」が16日、皇居・宮殿「松の間」で行われた。宮内庁によると、4月末に退位される天皇陛下と、皇后さまの出席も最後で、今後この儀式に歌を寄せる機会はない見通し。両陛下や皇族、一般の入選者らの歌が、独特の節回しで披露された。今回の題は「光」だった。

 陛下は、阪神大震災から10年となった2005年1月の追悼式典に出席した際、遺族の少女から贈られた、ヒマワリの種の成長について詠んだ。「贈られしひまはりの種は生え揃ひ葉を広げゆく初夏の光に」。このヒマワリは震災で犠牲になった少女の名にちなみ、復興の象徴とされる「はるかのひまわり」。両陛下は住まいの皇居・御所の庭に種をまき、毎年大切に育てている。

 「今しばし生きなむと思ふ寂光に園の薔薇のみな美しく」。皇后さまは御所の庭で、淡い光に照らされて咲くバラを見て感じた喜びを歌につづった。年を重ねる中で感じるある種の「不安」が、庭に咲くバラを見て和らいだ心境を切り取った。(共同)