Thursday, June 20, 2019 9:58 AM

USスチール、需要停滞で高炉2基の稼働停止

 トランプ政権の鉄鋼輸入関税で恩恵にあずかった企業の1つ、USスチールが18日、鉄鋼需要の低下を理由に高炉2基の稼働を停止し、生産量を減らすと発表した。

 ウォールストリート・ジャーナルによると、稼働を停止する高炉は、インディアナ州ギャリーの大型工場の1基と、ミシガン州エコース工場の1基。後者は点検のためすでに使用を中断しているが、作業が終わり次第完全に停止する予定。

 USスチールとニューコア、スチールダイナミクスの鉄鋼各社は今週、相次いで4〜6月期の利益予想を発表したが、鉄鋼需要が予想を下回っていることからいずれも従来予想を下方修正した。最近は自動車や農機の生産が落ち込んでおり、国内の鉱工業生産は1〜5月中3カ月で減少している。

 USスチールは「市場の状況が改善すれば、片方か両方の高炉の稼働を再開する」と説明した。トランプ政権が鉄鋼の輸入制限を始めた2018年、同社はミズーリ州グラナイトシティ工場で高炉2基を再稼働した。鉄鋼への関税によって国内のメーカーは値上げが可能になったが、ここ数カ月は鉄鋼需要が低下しており、関税の恩恵は薄れている。

 USスチールは全米で最も高コストの鉄鋼を生産するメーカーの1つで、価格の下落には非常に弱い。熱延鋼板の国内標準価格は現在、10年ぶりの高値を付けた18年夏から35%下落しており、18日現在は1トン=533ドル(S&Pグローバル・プラッツ)だった。