Thursday, September 05, 2019 10:12 AM

5G対応のVR技術で遠隔会議を可能に

 シリコン・バレー拠点の新興企業アイミーヴ(Imeve)は、仮想現実(VR)技術を使った5G対応の遠隔参加(telepresence)ソフトウェアを提供開始した。

 アイミーヴは、360度の動画撮影カメラ「ノキア・オーゾ(Nokia OZO)」の開発に携わっていた数人の技術者らがノキアから独立して2018年に立ち上げた会社。オーゾは当初、1台6万ドルのプロ向け製品として開発されたが、価格が徐々に引き下げられたのち、最終的に市場がないと判断され、2017年10月に製造中止となった。

 ベンチャービート誌によると、アイミーヴは、オーゾの関連ソフトウェアをノキアからライセンス提供されているが、現在ではリコー製のシータ(Theta)V(380ドル)やインスタ(Insta)製の360ワン・エックス(One X、400ドル)といった360度カメラも使っている。

 アイミーヴが提供開始した新製品「アヴァトゥアー(Avatour)」はベータ版。同社は、米国内の顧客会社らに3ヵ月弱にわたって試用してもらいながら改良を続ける方針。

 アヴァトゥアーを使うと、最高5人までの参加者がVRゴーグルかモバイル端末を使って遠隔会議に参加できる。会議の主催者は、逐次配信可能の場所で会議を開き、話しながら室内を歩いたりもできる。

 参加者らは会議中に発言できるほか、360度で周囲を見回すことができる。自身以外の参加者らの姿は、コンピュータで合成されたアヴァターとして視界に入る。参加者の見ている方向は、VRゴーグルやモバイル端末の方向性検知器で検出されるため、参加者らが見ているものを会議主催者も見ることができる。

 アヴァトゥアーは、5G通信網のもたらす機能をスプリント(Sprint)が実演しようとした際に、ノキアおよびアイミーヴと提携したことがきっかけとなって開発された。

 最近の実演では、フェイスブック傘下のオキュラス(Oculus)製の基本的なVRヘッドセット「ゴー(Go)」(200ドル)とワイファイ接続を使って遠隔会議が行われた。頭の向きをすばやく変えても画像の乱れはほとんどなくスムーズな体験だった、とベンチャービート誌は評している。

 アヴァトゥアーは、遠隔会議のほか不動産や教育といった分野にも応用できる、とアイミーヴは期待している。同社は、ベータ版の試用希望登録を10月15日まで受け付けている。試験運用は11月30日に終了する予定。

https://venturebeat.com/2019/09/04/5g-ready-vr-telepresence-app-avatour-launches-in-beta/