Monday, July 13, 2020 9:47 AM

IT課税年内合意見送りも 米反発、欧州と溝埋まらず

 巨大IT企業などの行き過ぎた節税を防ぐ「デジタル課税」の国際交渉を巡り、対象企業の拠点が国内になくても課税できるルールの導入について、目標とする年内合意の見送りが浮上していることが13日、分かった。グーグルやアップルなど自国企業への狙い撃ちと反発する米国と、巨大ITへの規制を強めたい欧州の溝が埋まらず、巨額の税逃れへの対策が宙に浮く可能性が出てきた。

 デジタル課税は、18日に開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁のテレビ会議でも議論するが、協議継続の確認にとどまる見通しだ。秋に米大統領選を控え自国第一主義を鮮明にするトランプ政権は、新型コロナウイルスへの対応を優先するためとして協議の一時中断を求めたほか、10日には独自課税に動いたフランスへの報復措置を決めるなど揺さぶりを強めており、年内に協議が進展する見通しは立っていない。

 税逃れ対策では、法人税の国際的な最低税率を設け、企業が税率の低い国に利益を移して節税するのを防ぐことも協議している。税収増を見込み各国の意見が一致するこの分野に絞って年内合意する可能性もあるが、巨大ITなどは税制の網をかいくぐり世界で年間10兆円の納税を逃れているともされ、不満を強める欧州はデジタル課税を含めた年内決着の旗を降ろしていない。(共同)