Wednesday, November 25, 2020 7:54 AM

医師に「スパイ罪」警告 中国武漢、コロナで口封じ

 【北京共同=大熊雄一郎、鮎川佳苗】新型コロナウイルス感染症が最初に確認された中国湖北省武漢市で、流行初期に対応した医師が当時の状況を対外発信すれば「スパイ罪を適用する」と当局から脅されていたことが25日、分かった。医療従事者らも一切口外しないよう警告を受けていた。複数の地元関係者が匿名を条件に明らかにした。

 初期対応の遅れが世界への感染拡大を招いたとする責任追及論がくすぶる中、内外で権威維持を図る中国当局の隠蔽工作が明確になった。習近平指導部には外部の検証を阻む狙いがあるとみられる。ウイルスの起源や拡大の経緯の解明に支障を来す恐れも強そうだ。

 市内の医療機関や当局に近い関係者らによると、かん口令が敷かれたのは今年8〜9月ごろ。習指導部が感染症を世界に先駆けて抑え込んだとの宣伝を本格化させた時期に当たる。