Thursday, December 17, 2020 9:24 AM

中国、月の試料持ち帰り 探査機帰還、米ソに次ぎ

 【北京共同=大沢心介】中国国営メディアによると、月面で土壌などを採取した中国の無人探査機「嫦娥5号」が17日未明、中国北部の内モンゴル自治区に帰還し、月の試料の持ち帰りに成功した。米国、旧ソ連(ロシア)に次ぐ3カ国目、44年ぶりの成功となる。習近平指導部は「宇宙強国」の確立に向けて技術と経験の蓄積を図っており、国威を発揚する狙いもある。

 内モンゴル自治区の草原地帯にあるウランチャブ市四子王旗に着地した。習国家主席は「挙国体制の強みを生かし、難関を乗り越え得た重大な成果だ。中国の宇宙事業は大きな一歩を踏み出した」と関係者を祝う談話を発表。「祖国と国民は卓越した功労を永遠に深く心に刻む」と強調した。

 中国は11月24日、南部の海南省の発射場で嫦娥5号を打ち上げた。12月1日に月面着陸に成功後、ロボットアームやドリルを用いて土壌などを採取。3日に月面を離陸し、地球に向かっていた。

 嫦娥は中国の伝説で月に住む仙女の名。中国は昨年1月に「嫦娥4号」で月の裏側への軟着陸に世界で初めて成功した。月面での有人探査や基地建設も視野に入れている。