Monday, July 26, 2021 4:58 PM

ジロウ、不動産評価額の精度を人工知能で向上

 オンライン不動産いちば(マーケットプレイス)および物件情報提供新興企業ジロウ(Zillow)は、人工知能を活用した高度の分析力をサービスに反映させ、不動産業界に革新をもたらしている。

 ベンチャービート誌によると、1億3500万軒以上の住宅情報が登録されている同社のプラットフォームは、売却物件の詳細情報だけでなく、住宅融資や登記、評価額といった情報も提供しており、推定評価額の平均誤差率は2%未満だ、と同社は説明している。

 同社は、2005年に人工知能を使い始めた。当初には、ブラックボックス・モデルを活用して予想精度を高めていた。過去3〜4年には、ジロウが住宅所有者たちから物件を直接購入するようになったこともあり、高精度の物件情報を追加するのに、データ分析と人工知能モデル評価を融合した手法に移行した、と同社のスタン・ハンフリーズ最高分析責任者は説明している。類似物件3〜5件の市場評価額を参照するという不動産業者らが使う方法をアルゴリズムに反映させることで、だれもが理解できる情報内容で説明できるようにする必要があった、と同氏は話す。

 ブラックボックス・モデルとは、一般的には、システムや機器類の内部のしくみを知ることなくインプットとアウトプットをみることができるシステムや機器類の概念。

 「人間は、『あの家とこの家は同等の物件だが、あの家には寝室が一つ多いから評価額を少し上乗せすべきだ』といったことを理解できる」と、ハンフリーズ氏は言う。オンライン上の物件情報は正確さが非常に重要で、しかもわかりやすい感覚的説明も重要だ。

 同氏によると、説明可能のモデルへの移行によって、消費者が自宅の価値を理解できるようになっただけでなく、それを見て直観的に評価額が正確と思えるかどうかを調べられるようになった。結果的に、ブラックボックス・モデルの正確さと説明可能モデルの直観性の両方を組み合わせることができた、とハンフリーズ氏は考えている。

 同社は、既存住宅の推定評価額を表示する機能「ゼスティメイト(Zestimate)」によって金額を算出するにあたって、以前なら公示記録のデータだけを使っていたが、いまでは同等住宅の過去の販売額も加味している。さらに、自然言語処理を使って、ジロウの顧客サービス担当者と一般利用者の会話で話された情報を取り込み、機械視認を使って物件写真も分析している。

 ジロウは、2006年2月時点で3万5000個の統計モデルを使って240万軒の住宅の評価額を推定した。いまでは700万の機械学習モデルを使って約1億1100軒の住宅を評価している。

 最近にリリースしたゼスティメイトのアルゴリズムのバージョン6.7では、平均絶対パーセント誤差が7.6%から6.9%に向上しているという。

https://venturebeat.com/2021/07/14/zillow-utilizes-ai-data-to-revolutionize-how-people-sell-houses/