Monday, November 08, 2021 9:00 AM

デュポン、電子部材ロジャースを52億ドルで買収へ

 化学大手デュポン(DuPont、デラウェア州)はこのほど、エンジニアリング材料メーカーのロジャース(Rogers、アリゾナ州)を約52億ドルで買収すると発表した。

 ブルームバーグ通信によると、電気自動車(EV)や高度な車載電子機器分野の急成長を受けたこの動きは、クリーンエネルギーや第5世代(5G)移動通信サービスなど他の主要な成長市場に向けた先端電子部材の分野でもデュポンの地位を高めそうだ。

 デュポンはまた、自動車用のポリマーや樹脂を製造するモビリティー&マテリアル部門のほとんどを売却する計画も発表した。エド・ブリーンCEOは「長期的に安定した成長トレンドが見られる市場分野の、高成長で価値の高い商機に焦点を合わせている。当社の能力を最大限に高めるため、有機的で戦略的な買収を通してさらに投資を続ける」と述べた。

 ブリーン氏は、2012年のタイコ・インターナショナルの事業分割や、00年のゼネラル・インスツルメントの売却など、大きな取り引きを指揮した実績がある。

 ロジャーズはアリゾナ州チャンドラーを拠点に高機能・高付加価値の先端電子部材を開発している。

 デュポンのモビリティー&マテリアル部門は、21年の売上高見通しが42億ドル。事業のマーケティングに最大6カ月かかると見込まれ、売却は22年の10〜12月期までに完了する予定。売却益はロジャースの買収資金に充てる。

 ブリーン氏は17年にダウ・ケミカルとの合併を主導し、統合後に事業は特殊化学品のデュポン、素材科学のダウ(Dow)、および農業関連のコルテバ(Corteva)という3つの独立した企業に分割された。デュポンは21年、自動運転車(AV)向けの高度な電子部材を専門とする上海拠点のレアード・パフォーマンス・マテリアルズ(Laird Performance Materials)を23億ドルで買収している。