Monday, May 16, 2022 7:03 AM

運転支援システム、まだ正面衝突避けられず

 現在の自動車の運転支援システムや自動ブレーキシステムはまだ本物の自律走行には程遠く、ドライバーが車両を制御し続ける必要があるという調査結果を、米国自動車協会(AAA)が発表した。

 ロイター通信によると、AAAは今回、先進運転支援システム(ADAS)を搭載した3モデル(「テスラ・モデル3」「現代サンタフェ」「スバル・フォレスター」)を対象に試験を実施した。シナリオは、1)同じ方向に走る前方のダミー車を追い越す、2)同じ方向に走るダミー自転車を追い越す、3)ダミー車がこのままでは正面衝突しそうな進路で時速25マイルで走ってくる、4)試験車の進路を横切るダミー自転車との衝突を回避する…を設定した。ダミー車は発泡材でできていた。

 この結果、3台の試験車両はいずれも、同じ方向に走る前方のダミー車および自転車との衝突は回避できたが、正面衝突のシナリオでは衝突を避けられなかった。正面衝突の際、「モデル3」はダミー車を検知すると自動的にブレーキがかかり、衝突前に時速3.2マイル以下まで減速したが、「サンタフェ」と「フォレスター」はダミー車両の検知や衝突回避のための減速ができなかった。

 また、進路を横切るダミー自転車に対しては、「モデル3」と「サンタフェ」はブレーキがかかったが、「フォレスター」は、5回のテスト走行で一度も自転車を検出できなかった。

 最近の新車には、ステアリング、車線維持、ブレーキなどの機能を部分的に自動化するADASを搭載したモデルが急増しており、テスラの「オートパイロット」は最もよく知られた運転支援システムの一つだが、ほとんどのメーカーは同様の技術を提供している。

 規制当局、自動車保険会社、自動車メーカーは「全神経をとがらせた人間のドライバーとADASシステムを安全に置き換えることはできない」と警告している。

 AAA調査結果について、現代自動車は声明で「顧客の安全に対する継続的な取り組みの一環として調査の結果を精査している 」とコメントした。スバルの広報は「調査方法を理解するため調査結果を精査している。22年型『フォレスター』では運転支援システム「アイサイト」を改良した」と話した。