Wednesday, June 22, 2022 7:57 AM

デルタ航空とケロッグなど、広告の偏見排除を公約

 航空大手デルタ航空と食品大手ケロッグ、複数の大手広告代理店は20日、オンライン広告を管理するアルゴリズム(コンピューターによる計算の手法)にある偏向(偏見)を排除することを公約した。

 ロイター通信によると、フランスのカンヌで開催された広告業界会合で発表されたこの措置は、性別や人種、その他の属性や特性に関する固定観念または既成概念が人々を不当に決めつけないようにするのが目的。

 オンライン広告業界では、デジタル広告枠の購入を自動化するソフトウェアが多用されている。それらの大部分は人工知能(AI)モデル群を基盤とする。それらのモデルを訓練するのに使われる膨大な量のデータ自体に情報の偏りがあれば、アルゴリズムが出す答えにも偏見が反映される。そのため、各国の消費者保護当局または公正取引当局はオンライン広告の公正さを監視する動きを強めている。オンライン広告を出す大企業と広告代理店大手は、そういった動きに対応するために偏向広告を自主的に防止する姿勢だ。

 デルタ、ケロッグなどはその実行に向けて、IBMが構築したアルゴリズム群と指針を採用し、広告内容の多様性や公平性といった均衡を取る方針。IBMは、デジタル広告から偏向や偏見を排除するツール群を1年前から社内で試験し、その効果を確認した。同社によると、各種の調整が必要であるため、導入当初にはクリック数が一時的に減る可能性があるが、広告内容はより包含的になり、最終的には広告効果の向上につながるという。

 広告大手WPP傘下のオンライン広告代理店マインドシェア(Mindshare)がIBMと協力して実施した試験では、オンライン広告を女性向けに出稿する匿名会社の広告内容から性別要素をなくして男性と女性の両方に向けた広告内容に修正したところ、男女格差の影響を示す指標が6倍に改善された。

 電通とピュブリシス・グループ(Publicis Groupe)、デジタル広告技術会社のクリティオとマグナイト(Magnite)もデルタ、ケロッグと同じ公約を掲げ、IBMのソリューションを採用する方針を打ち出した。