Tuesday, September 06, 2022 11:55 AM

レディアスAI、防犯カメラ映像を末端人工知能で分析

 小売店向けの機械視認(computer vision)技術を提供する新興企業レディアスAI(Radius AI)は、コンヴィニエンス・ストアーの分野で機械視認技術を試験運用するために、約1000店舗に機械視認技術の導入を進めている。同社によると、同業界における機械視認技術の導入としては過去最大だ。

 ベンチャービート誌によると、レディアスAIは2022年7月に、同誌が選ぶ「AIイノヴェーション賞」で末端人工知能技術の賞を受賞した。同社が開発しているのは、小売店内のカメラ群を活用して、来店客や従業員の行動、店内の商品および備品の配置に関するデータ分析結果をリアルタイムに示す技術だ。

 同賞の選考委員を務めたレノボ北米事業部門の人工知能事業責任者アンドレア・フエルズ氏は、同技術がコンヴィニエンス・ストアーの運営効率改善に役立つと評価している。「レディアスAIの人工知能技術の目的は、リアルタイムに従業員に情報をもたらして改善策を実施できるようにすることにある」と、同氏は話している。

 レディアスAIが進めているのは、コンヴィニエンス・ストアー業界の1社が運営する約1000店舗への機械視認技術の導入だ。その会社の名前は明らかにされていない。

 レディアスAIは、アリゾナ州のウェルズ・ファーゴ銀行で同僚だったアブヒナブ・チャウダリー氏とジェフ・コックス氏が友人になったことをきっかけに起業された。二人は、機械視認技術を使った小売業界向け解決策をもたらす事業案を考えてい。両氏の起業案は、アリゾナ州立大学工学部の教授だったアイクート・デンギ氏に2018年に出会い、デンギ氏が教授職を休職して無給で起業計画に参画することを決めたことで前進した。さらに、フェニックスの新興企業向け諮問委員を務めていたスーザン・スライ氏も加わり、それら4人が共同設立者となって同社は立ち上げられた。

 「当時、小売業界は末端技術にあまり注目していなかった。オンライン販売では人工知能が活用されていたが、実店舗での活用はそれほどでもなかった」と、スライ氏は話す。しかし、チャウダリー氏とコックス氏は、ほぼすべてのコンヴィニエンス・ストアーにすでに設置されている防犯カメラに人工知能基盤機械視認の機会があると考えた。

 同社の技術は独自の装置で提供され、既存の防犯カメラと機械視認技術を統合する。消費者が入店した瞬間からその動向を追い、何も購入せずに店を去った場合も含めて、すべての来店者行動をとらえ、機械視認技術によって映像データを解析し、それをもとに洞察を導き出す。

 レディアスAIは機械学習モデルを構築済みで、来店客の意図を認識する機械学習用訓練データを拡充させつつある。

https://venturebeat.com/ai/radius-ai-brings-edge-ai-to-retail-wins-innovation-award/