Thursday, September 15, 2022 6:54 AM

ONEのEV電池、航続距離600マイルでコストは半分

 ミシガン州の新興電池メーカー、アワ・ネクスト・エナジー(ONE)は、最大600マイル(965キロメートル)の航続距離を達成しつつ、生産コストを50%減らせる電気自動車(EV)用電池システム「ジェミナイ(Gemini)」を発表した。

 ロイター通信によると、創業者でCEOのムジーブ・イジャズ氏は「2026年には米国に新設する年間生産能力20ギガワット時(GWh)の工場で生産を始めたい」と話した。

 ジェミナイは負極がないアノードフリー設計が特徴で、最近は他の電池メーカーも同じ設計に取り組んでいるが、ONEのシステムは日常走行用と長距離走行時の航続距離延長(レンジエクステンダー)用に2種類の電池化学を採用している。日常用のセルは、比較的一般的なリン酸鉄リチウム正極と黒鉛負極を使用し、大容量のレンジエクステンダー用は黒鉛や負極構成部品を排除したアノードフリー設計となっている。

 正極は、リチウムとマンガンにニッケルの割合を大幅に減らした独自の配合で、コバルトは使っていない。

 イジャズ氏は長年、既存のEV電池のほとんどで正極材に使われているが高価で持続可能性も低いニッケルとコバルトを電池の材料から排除したいと考えている。リチウムを多く含むマンガン・ニッケル正極はまだ改良中で、現行バージョンのレンジエクステンダー用電池は、ニッケル、コバルト、マンガンからなる正極を使っている。

 現在の電池コストは容量1キロワット時(kWh)当たり100〜110ドルと推定されるが、ONEによると、アノードフリーにすることで量産時の電池コストを1kWh当たり50ドル減らせるという。イジャズ氏は「26年にマンガン主体のコバルトゼロ、ニッケル26%以下のジェミナイ電池を発売することが目標」と述べた。

 ONEのジェミナイ電池は、13〜15日にミシガン州ノバイで開催されるThe Battery Showで展示される。