Thursday, December 01, 2022 6:02 AM

ブラックベリー、AWSとの提携拡大〜QNX技術のクラウド対応で

 カナダのセキュリティー・ソフトウェア開発大手ブラックベリー(BlackBerry)は、アマゾンのクラウド電算サービス部門アマゾン・ウェブ・サービシズ(AWS)の活用範囲を拡大し、各種組み込みシステムの開発者らが車載ソフト「QNX」の技術を初めてクラウドで使えるようにした。製品が市場に出るまでの時間が大幅に短縮されそうだ。

 ブラックベリーのプレスリリースによると、QNX部門は、11月28日から12月2日までラスベガスで開かれる技術系イベント「AWS re:Invent 2022」で、AWS Graviton2プロセサーを搭載したAmazon Elastic Compute Cloud(AmazonEC2)上でネイティブに動作するQNXのRTOS(リアルタイムOS)と人工知能(AI)データプラットフォーム「BlackBerry IVY」の実演を行う。

 クラウドベースの「QNX RTOS」は、クラウドネイティブな開発ワークベンチとして機能し、単独でも、ブラックベリーとAWSが作成したクラウド接続型自動車AIプラットフォーム「BlackBerry IVY」と組み合わせても利用できる。自動車のほか、ロボット、医療機器、産業制御、航空などの業界は、QNXの「Neutrino RTOS」をクラウド経由で使うことにより、試験、検証、妥当性確認を通じてソフトウェアの信頼性を保証しつつ、開発時間を短縮することができる。

 自動車業界の場合、消費者や各国・地域の規制当局から高度な機能や性能に対する要求が高まっており、現在車に搭載されるソフトウェアのソースコードは平均的なモデルで1億行を超える。

 このため、車の電子設計はますます複雑になっており、自動車メーカーは、機能安全(ISO 26262)およびサイバーセキュリティー(ISO 21434)の要件を満たしつつ、車のソフトウェアエコシステム全体のプロトタイプ化、テスト、検証を行うという重圧にさらされている。将来のソフトウェア制御型車両の構築を進める中、AWSに支えられたクラウドネイティブな「QNX RTOS」を利用することで、メーカーはこうした課題のいくつかに対処し、開発者との摩擦を減らして、開発作業を効率化できるようになる。

 すでに一部の自動車メーカーやティア1サプライヤーにはこのプロジェクトの早期アクセス版が提供されており、電装部品大手マレリ(Marelli、旧カルソニックカンセイ)は現在、次世代車技術の開発でこのソリューションを試験運用している。