Wednesday, December 07, 2022 6:01 AM

無線送電技術のリーチパワー、3000万ドルの資金調達

 無線送電技術の開発に取り組むシリコンバレーの新興企業リーチ・パワー(Reach Power)は、商業化に向けた資金調達ラウンドで3000万ドルを調達した。

 ロイター通信によると、大電力源を備えた大型パラボラ・アンテナによる同様の技術は過去にも実証されているが、リーチの創業者でCEOのクリス・ダブランテス氏は「最近は、エネルギービームを正確に集束できる大電力アンテナの開発と、制御ソフトウェアの改良によって効果的な無線送電システムの実現が可能になった」と話す。

 ダブランテス氏はロイター向けに実演し、電池のないラジオをアンテナ経由の無線電力受信機に接続し、25フィート(7.6メートル)の距離から電力送信機でラジオの音を出して見せた。

 より強力な電気ビームを発射することの安全性に関しては「このシステムは物体を検知するとスイッチを切ったり照射線を迂回させたりできる」と説明。「当社のシステムのそばにいても、被ばく量は常に普通の携帯電話と同程度だと保証する」と自信を見せた。

 リーチは、より強力な電力の伝送や長距離伝送のために複数のエネルギー照射モジュールを組み合わせることができる試作品について、米国防総省の契約を取り付けた。また同社は、電気を運ぶ電波の放射と受信が可能なパワーチップを設計しており、2023年1〜3月期に出荷を予定する商用製品に使用する予定。当初はロボットや自動運転車(AV)を使うメーカー、物流会社などに出荷する。

 今回の資金調達を担当したベンチャーキャピタルDCVCの共同創業者マット・オッコ氏は「インターネット接続でWi-Fiが実現したように、リーチは電力で電線を不要にする。この分野にはほかにも新興企業がいくつかあるが、パワー、距離、拡張性、電力効率、安全性、費用対効果の組み合わせでリーチに匹敵する企業はない」と話している。