Monday, December 12, 2022 5:52 AM

アンプリアスの高性能電池、軍用品規格に適合

 「シリコンナノワイヤー・アノード・プラットフォーム」を使った超高エネルギー密度リチウムイオン電池を開発するアンプリアス・テクノロジー(Amprius Technologies、カリフォルニア州)は、ポリマー電解質を使った重量エネルギー密度が390Wh/kgの同社製リチウムイオン電池が、国防総省の装備品耐久性能試験に合格した。

 グリーンカー・コングレスによると、性能試験では、独立試験機関がMIL-PRF-32383(軍用品耐久性能規格)セクション4.7.4.の要件に従い、釘刺し試験を行った。この試験は、特定の製品が戦闘中も使えるか判断するために行われる。電池の場合は釘が刺さっても燃焼または爆発してはならず、鋭い物体が貫通した時に外部温度が338°F(170℃)を上回ってはならない。

 試験では、直径0.113インチのステンレス釘を決められた速度で満充電状態の電池に打ち込み、釘が刺さっても煙や炎が出なければ合格となる。

 アンプリアスの革新的なポリマー電解質は、釘が貫通しても電池の電圧がわずかに低下しただけで低抵抗のショートは起こさず、電池の温度上昇も最小限に抑えた。釘の貫通後も電池は機能して、兵士が身に着ける機器に電力を供給し続けられる能力を示した。

 アンプリアスは2021年10月、米陸軍から100%シリコン負極リチウムイオン電池の開発契約を取り付け、過去18カ月間はラピッドプロトタイピング(立体印刷を使った短期間の試作品製作)によって、陸軍がさまざまな用途で使う最先端の高エネルギー密度リチウムイオン電池の設計、開発、検証などを行なっている。

 同社はこの開発プログラムの一部として、陸軍兵士向けの個人用装着型電池(Conformal Wearable Battery=CWB)で使うセル(電池の単体)の製造および試験に取り組んでいる。CWBは兵士のベストに内蔵され、通信機器やナビゲーション機器に電力を供給する。米陸軍は性能実証用に電池パック30個を同社に発注している。