Wednesday, February 08, 2023 7:01 AM

企業幹部の76%、競合他社のESGデータ信用せず

 2022年は、ESG(環境、社会責任、企業統治)への投資の信頼性が揺らいだ年だった。このため、各社が報告する持続可能性関連のデータが信用されなくなっている。

 エコ・ビジネス誌によると、石油・ガス、鉱業、運輸、農業分野の企業で技術またはESGを担当する経営幹部1000人以上を対象にした世界規模の調査で、企業幹部の76%は他社が持続可能性の報告や主張の根拠として使っているデータを信用していないことが明らかになった。

 調査は英国の人工衛星通信サービス会社インマルサット(Inmarsat)が実施し、幹部の80%が競合他社は持続可能性の具体的成果を出すよりも認知されることを重視していると

考えていることも判明した。また、81%は自社の事業について、他社より環境的かつ社会的に持続可能と考えていると回答した。

 そのほか、企業は総じて自社のESGデータの開示に消極的であることがあらためて分かった。ESGデータを他社と共有しないという姿勢はそれぞれの業界の環境対応の透明性や基準化に悪影響を及ぼす。

 業界の透明性を高める報告や基準化を改善するため、自社のESGデータをすべて第三者と共有することに抵抗がないと回答した割合は47%だった。

 インマルサット調査は、検証可能なハード・データや、それを共有しようという意欲の欠如が企業や業界の信頼を損ない、産業界の持続可能性の進歩を遅らせている可能性を示すと考えられる。