Thursday, September 07, 2023 6:56 AM

AI活用で職場をより安全に〜物流センターで導入進む

 職場の安全性向上に、人工知能(AI)が活躍し始めている。

■休業災害度数率が大幅に低下

 ウォールストリート・ジャーナルによると、ニュージャージー州にあるインターネット通販大手アマゾンの物流センター「EWR9」では、作業員が歩いて棚を行き来する代わりに「ポッド」と呼ばれる自動運転の棚ユニットが作業員のいる所まで荷物を運んでくる。

 面積130万平方メートルの施設内では約4万5000台のポッドが動き回っており、上級幹部を含む従業員3000人のほとんどはこの区域に入ることを許されていない。ポッドの動きはクラウド上のAIシステムが監督し、区域に入れるスペシャリストは、無線通信でつながる専用ベストを着用して周囲のポッドを誘導する手助けをする。

 アマゾンは、保管棚を動かすこの手法を「Goods-to-Person」戦略と呼んでおり、AIとセンサーを使った棚の設計は、効率性、人間工学的なつくり、安全性の促進を目的としている。アマゾンは、棚ポッドの周りを移動する自律型ロボットを全世界で約75万台導入しており、ほとんどのロボットは専用区域内で動作するが、最新の装置は、まるでカクテルパーティー会場の中を移動するかのように従業員に混ざり、彼らの周りを動き回るという。

 同社では、19〜22年に休業災害(LTI)の度数率が69%低下しており、22年はロボットを使ってない事業所のLTI度数率が導入した事業所より21%も高かった。アマゾン・ロボティクス部門のチーフ・テクノロジストは「物流センターをより安全にするためにAIや機械学習を取り入れており、協働ロボットを使って行っているこうした試みは現実に報われ始めている」と話す。